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2021/7/15
“政治的な”制作活動をしているフェミニスト手芸グループ「山姥」。彼女たちが日々の活動や、編んだり縫ったりしながら日々考えていることの記録する、第3回はあの素晴らしいバナーについて!
2020年から「政治的な手芸部」という活動をやっている。ウィメンズマーチの行われる国際女性デーの3月8日を目指して参加者を募り、手芸を用いたデモのバナーを作る企画だ。参加者ひとりにつき、15センチ四方の正方形の部品を作って郵送してもらい、それを集まれるメンバーで一枚につなぎ合わせる。
編み物、刺繍、フェルト、ボタン、ビーズ…その他、様々な手芸の技術で作られた部品は、見るだけでその熱意に圧倒されるし、つなぎ合わされた時のインパクトはさらにすごい。ぜひいつかどこかで実物を見てもらえたらいいけれど、もしそれが難しい人でも今年2021年は記念のzineを作成したので、ぜひ手に取っていただけるとうれしい。
エトセトラブックスBOOKSHOPさんにも置いてもらっているし、山姥のboothで通販もしている(サイトはこちら)。
Twitterでイギリスのトランプ反対の編み物のバナーを見かけて、こういうのがやりたいなあなんて呟いたところから、こんなに参加してくれる人が増える(2020年は27人、2021年は67人!)なんて、思っていなかった。
やっている最中は割り振りや連絡の対応などが結構大変でなんでこんなことをはじめてしまったんだ…と正直後悔したこともあるし、今年は人数が多すぎてインターネット上で話し合うというのが難しく、実行委員会で決めさせてもらう部分も多くて、もしかしたら不満に感じた人もいたかもしれない。
「社会運動をやる」、しかも「誰も取りこぼさない社会運動を目指す」というのはなかなか一筋縄ではいかないんだと遅ればせながら、改めて実感した。でも、バナーが完成して、文字部分も無地部分もこれでもかという気持ちが込められているのを一枚一枚指でなぞってみた時、わたしたち山姥だけではなく、手芸を愛して、それを社会運動やフェミニズムを表す手段にしようというのに共鳴してくれる人がこんなにたくさんいることに本当に感動し、やってよかったと心の底から思った。
社会運動は手芸に似ている。やっている時はなんでこんなことを…と思っても、結局誰かとつながったうれしさや小さな達成感にやめられなくなる。
来年もやろうと思っているので、参加したい人はぜひ山姥のTwitterアカウントをチェックしてください(宣伝してすみません!)。
だいぶ先ですが年明けくらいに告知します。「わたしは上手じゃないけど……」と謙遜する人が絶対いるんだけど、技術的なことはわたしたち山姥だって全然追い付いてなくて、でも大事なのは自分の思いを表現することだと思うので、手芸歴はまったく問いません。参加をお待ちしています!
バナーは完成後、大活躍で、ウィメンズマーチだけではなく、入管法改悪反対の抗議スタンディング、6月23日反五輪デモにも持って行った(反五輪デモでは松尾さんや松田青子さんと会って一緒に歩いたんだけど、推しとデモを歩けるなんてそんなことある?)。
バナー作成に参加した人たちからはデモに参加できなかった分、バナーを連れて行ってもらえてよかったと言ってもらえてうれしかった。今後も、いろんなところに一緒に行って闘ってもらおうと思っている。
山姥(やまんば)
2019年からマルリナ・かんなの2人で、フェミニズムや自分たちの好きな本、漫画をテーマにした手芸(刺繍や編み物)をして活動中。山姥は俗世間に馴染めず、おそろしい存在として排除されてきました。しかし、実は彼女たちは歴史や制度、そして男たちの期待する女の姿に押し込められず、闘ってきた女たちではないでしょうか。そうした先人たちの抗い方を見習いたい、そんな思いで活動しています。
フェミニスト手芸グループ・山姥「女の知恵は針の先」