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フェミニズムの名著2冊を復刊します!

2020/7/15

エトセトラニュース

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世界中でロングセラーのフェミニズム入門書、ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』(堀田碧訳)。そして、2003年センスオブジェンダー大賞受賞作、〈女だけの国〉を描いた孤高のディストピア小説、笙野頼子『水晶内制度』を、2冊同時に8月復刊いたします。書誌はこちら

『フェミニズムはみんなのもの』は敬愛する先行フェミニスト出版社の新水社から、『水晶内制度』は新潮社から、同じ17年前、2003年に日本で出版されました。これはゲラを読んでいて、「あ!」と(遅すぎなんですが)気づいたくらいの、偶然の一致です。

『フェミニズムはみんなのもの』は、現代を代表するフェミニズム理論家のひとりベル・フックスが、1970年代のウーマン・リブ、80年代からのバックラッシュを経て、一部の学問に取り込まれてしまったフェミニズムの再生を信じて、2000年に刊行した一冊。

(新版表紙より、写真は若きベル・フックス/デザイン:福岡南央子)

今、ここからフェミニズムを知りたいという読者にとって、〈第2波フェミニズム〉の歴史を知るだけでなく、魂のバトンを受け取れるガイドブックです。たまにSNS上で「フェミニズムはみんなのもの」ってことばだけが、ふわっと都合よく解釈されているのを見かけますけど、まず全部読んでほしい。ベル・フックスの言う「みんなのもの」の意味するところは、非常にラディカルです。

そして、『水晶内制度』で描かれるのは、性暴力と性差別に満ちた日本へのレジスタンス、女だけの国〈ウラミズモ〉。この作品が17年前に書かれていたとは、変わらない社会への絶望を噛みしめるとともに、その先見に驚愕せざるを得ません。

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(2003年新潮社版のカバー。装幀はミルキィ・イソベ氏)

本書には、笙野頼子さん渾身の書き下ろし、自作解説一挙50枚を収録します。すごいです。ハイコンテクストで難解なイメージがある笙野作品ですが、なんと今回の自作解説では、作家自ら「*ページから読んで、次は*ページへ、そして*ページに戻ってみて…」という、この作品を読むための「取説」まで盛り込んでくださいました。

同解説には「フェニズムというよりも、ただひたすら『バックラッシュの最初』に書かれた平成の文学奇書である」とも書かれています。作家に異議を申し立てるのもなんですが、いえ、これは17年前から届いた、今フェミニズムに必要な小説です。

2003年センスオブジェンダー大賞受賞の際の笙野さんの「受賞のことば」を、ぜひお読みください。

どちらも8/12(水)発売予定です。これまで繰り返されてきたように、この先もっとひどくなるであろう、フェミニズムへのバックラッシュに抗うためにも、この最強の2冊を携えていこうではないですか。