カルメン・マリア・マチャドのウィルス小説「リスト」(松田青子訳)を無料公開します。

2020/3/28

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今月発売したばかりのカルメン・マリア・マチャド短篇集『彼女の体とその他の断片』(小澤英実・小澤身和子・岸本佐知子・松田青子 訳)より、「リスト」(松田青子訳)を期間限定で無料公開いたします。

 

 

 

 

「再びキャスターが映り、フライトは欠航、州境は閉鎖、ウイルスはじきに隔離される模様、と繰り返した。近づいてきたウェイトレスは、心ここにあらずに見えた。「向こうに知っている人が いるの?」とわたしが訊くと、彼女は目に涙を浮かべてうなずいた。何も訊かなければよかっ たと、ひどく後悔した」(本文より)

舞台はおそらくアメリカ、限りなく致死率の高いウィルスが急速に蔓延する世界で、それでも人と人、体と体は近づかずにいられない。
カルメン・マリア・マチャドは、ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家15作」に選ばれた新人作家で、レズビアンを公言し、米文学界の#MeTooに参加したことも注目を浴びました。小説と読み方だけではない、「身体」そのものを書き換えてしまう驚異的な作家です。

マチャドが3年前に「リスト」で描いたパワレルワールドにも、わかりやすくすがれる希望はありません。でも、この現実を見据えるために心を落ち着かせる必要があるなら、この短篇をシェアしたいと思います。

*2020年4/29追記:1か月くらいの期間限定公開のつもりでしたが、新型コロナウィルスが収束する気配はまったく見えません。このまま無料公開を続けます。

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