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エトセトラブックスの本

わたしたちの停留所と、書き写す夜

わたしたちの停留所と、書き写す夜

キム・イソル
小山内園子 訳

定価

2000円+税

判型

四六変・並製

頁数

136ページ

装丁

鈴木千佳子

発売

2025年10月30日

原題

우리의 정류장과 필사의 밤

ISBN

978-4-909910-31-8

内容

わたしの言葉を、
わたしはまだ取り戻せるだろうか。

 

40代未婚無職の「わたし」は、老いた父母やDVを受けて実家に戻ってきた妹親子のケア労働に果てなく追われ、詩人になる夢も「あの人」とのささやかな幸せもすべてを諦めて生きている。一日の終わりに、好きな詩を筆写することだけが自分を取り戻す時間であった「わたし」が、それすら失ってしまう前にとった選択とは――。

 

いま「停留所」に佇んでいるすべての人たちにおくる、
韓国フェミニズムのうねりのなか生まれた
真に大事なものを静かに問いかける「人生小説」。

 

「訳者あとがき」全文はこちら

 

******韓国読者から共感の声続々!********
(オンライン書店レビューより)

「主人公の状況に息が詰まった。応援してしまう」

 

「誰かが私の物語を、代わりに書いてくれた気がした」

 

「慣れようとしても慣れることのできない家事や介護を引き受けている人なら、思わず涙が出そうなこの物語。無限に共感できる」

 

「ほんの二、三時間でいいから自分として生きられる時間が欲しかったあの頃。そんな時期に耐えている、すべての女性たちへの叫びのような物語」

 

 「読んだあとで恋人の性別を知ってもっとせつなくなった。そのプロセスも含めてこの作品が大好き」

 

 「主人公のすべての選択を、応援したくなる本。みんな、幸せになろう」

 

「家庭でも社会でもひたすら〈わたし〉でいつづけられない。そう感じる人だけが理解できる、わからない人には絶対に共感できない物語」

 

「家事の責任を負いながら、誰にも言えない悩みまで抱え、大学進学も家の事情に合わせた自分を慰めてくれる小説」

 

「周りや世間を喜ばせるために生きなきゃならないんじゃない、自分がうれしいときにはじめて、自分をとりまく世界は完全なものになる。そんなことを教えてくれる」

著者情報

著者
キム・イソル
김이설
2006年『ソウル新聞』新春文芸に短篇小説「十三歳」が当選して作家活動を始める。短篇集『誰も言わないこと』『今日のように静かに』、長篇小説『汚れた血』『幻影』『線画』『私たちが安堵しているあいだ』がある。第1回ファン・スンウォン新進文学賞、第3回若い作家賞、第9回キム・ヒョン文学牌を受賞。邦訳に、短編「更年」(斎藤真理子訳、『ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』、白水社所収)がある。本書は初の単行本邦訳。


訳者

小山内園子
(おさない・そのこ)
NHK報道局ディレクターを経て、延世大学校などで韓国語を学ぶ。訳書に、ク・ビョンモ『破果』『破砕』(岩波書店)、カン・ファギル『大仏ホテルの幽霊』(白水社)など多数。著書に、『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』(NHK 出版)がある。