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エトセトラブックスの本

傷

傷

オクサーナ・ヴァシャキナ
高柳聡子 訳

定価

2800円+税

判型

四六変・並製

頁数

296ページ

装幀

須田杏菜

発売

2026年10月30日

原題

Рана

ISBN

978-4-909910-36-3

内容

ママの死の痛みは、私の生の痛み。

 

亡き母との記憶、セクシュアリティ、そして「女として生きること」の痛みを抱え、はるか遠いシベリアまで母の遺骨と旅をした。
現代ロシア文学の最重要作家、初邦訳。

 

現代ロシア文学最重要作家のひとり、オクサーナ・ヴァシャキナの長編小説を初邦訳。
最愛の母を亡くした作家が、モスクワ-シベリア4000キロを弔いの旅に出る。フェミニストでレズビアンの自分と、自分を愛してくれなかった母の溝。憎みたかったのではなく、愛されたかった――。
過酷な「生」をありのままに記述し、散文と詩が混在する多層的なテクストで綴られる旅の記録。

 

この読み心地。手記、エッセイ、抒情詩、物語……そのいずれでもあって、いずれでもない。生々しいのにしずかで、痛々しいのにつよい。そうなんだ。傷はときに、最も切実な存在証明になってくれる。
もしかしたら人は、〈自分〉であろうとするからこそ、〈自分〉を生きようとするからこそ、傷つくのかもしれない。
――小山内園子

著者情報

Оксана Васякина
オクサーナ・ヴァシャキナ
1989年ロシアのイルクーツク州ウスチ=イリムスク生まれ。詩人、作家、LGBT活動家。14歳から詩を書き始め、モスクワのゴーリキー文学大学に進学。2010年代にロシアで興隆したフェミニズム詩を代表する詩人の一人として注目を集める。2016年に第一詩集『女性の散文』、2019年に詩集『憤激の風』を刊行。ジェンダーや女性の身体性を主題とする作品を発表してきた。 母の死後、詩が書けなくなったことを契機に散文へ移行し、2021年に初の長篇小説である本作を発表。同作は2022年最良の小説として「ノース賞」を受賞。続いて父の死を描く『ステップ』(2022年)、叔母の死を描く『薔薇』(2023年)を発表し、自伝的長篇三部作と呼ばれる。 現在はモスクワを拠点に執筆し、文学スクールで若い書き手の育成にも携わる。

 

高柳聡子
(たかやなぎ・さとこ)
ロシア文学者、翻訳者。1967年福岡県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。おもにロシア語圏の女性文学とフェミニズム史を研究中。著書に『ロシア 女たちの反体制運動』(集英社)、『埃だらけのすももを売ればよい』(書肆侃侃房)、『ロシアの女性誌—時代を映す女たち』(群像社)。訳書にイリヤー・チラーキ『集中治療室の手紙』(群像社)、マリーナ・パレイ『カビリア』(白水社)、ダリア・セレンコ『女の子たちと公的機関 ロシアのフェミニストが目覚めるとき』、エレーナ・コスチュチェンコ『私の愛するロシア プーチン政権から忘れ去られた人びと(どちらもエトセトラブックス)など。