熊本理抄(くまもと・りさ)
近畿大学人権問題研究所教員。人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティが絡み合ってもたらす抑圧、その抑圧からの自由と解放を求める社会運動に関心がある。研究と運動の主たる現場は、日本、インド、米国、国連。主著に『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』(2020年、解放出版社)がある。現在取り組んでいる活動と研究はもりだくさんで、隣保館を中心に行なわれる相談支援、学校における人権教育とジェンダー教育、主体性と関連するマイノリティ女性の学習と労働、同和対策事業等マイノリティを対象とした社会政策など。なかでもとくに聞き取りが大好き。生きてきた軌跡から社会構造に向き合いつづけたい。そしてものづくりが大好き。つぎの人生では職人になりたい。
藤岡美恵子(ふじおか・みえこ)
法政大学大学院非常勤講師(「国際人権論」を担当)。1980年代末から2000年代半ばまで国際人権NGO反差別国際運動(IMADR)で専従職員やプロジェクトコーディネーター。その後特定の団体には所属せずNGOと政府の関係、レイシズム、植民地主義の問題にとりくむ。主な論文に「Condemning J. Mark Ramseyer’s Paper “On the Invention of Identity Politics: The Buraku Outcastes in Japan”」(共著、The Asia-Pacific Journal Japan Focus, Volume 19, Issue 9, Number 8, 2021)。共著書に『終わりなき戦争に抗う』(新評論)など。植民地主義にもレイシズムにも正面から向き合って来なかった日本社会で〈反‐反差別〉が勢いを増す中、日本のレイシズムを解明する作業に微力ながら加わりたいと考えている。織物、刺繡が大好きな「布フェチ」。
宮前千雅子(みやまえ・ちかこ)
大学の非正規研究員と非常勤講師をしています。被差別部落に暮らしたことのない部落出身者。部落の外に、部落問題を含めた人権課題を語りあえるネットワークづくりをしたいと思い、活動してきました。ハンセン病問題やジェンダーの課題、性被害をなくすことにもかかわっています。興味があるのは、マイノリティの近代史。これまで歴史のなかに埋もれ、注目されてこなかったものをあきらかにしたい、そして差別を生み出し再生産する社会のしくみをあぶり出したいと思います。とりわけ最近は、部落女性の歴史をまとめるため奮闘中。100年前の女性たちと対話する日々です。中学生のときから阪神タイガースの大ファン。
福岡ともみ(ふくおか・ともみ)
1956年生まれ。人は人をなぜ差別するのだろうかという疑問を持ち生きてきた。1995年、沖縄少女レイプ事件に衝撃をうけ、親友と性暴力被害者やDV被害者のサポートを始める。1999年、DV被害者が加害者となった裁判に関わり、支援とは何かを考える原点となる。2013年、性暴力被害者支援センター・神戸の設立に参画。現NPO法人性暴力被害者支援センター・ひょうご理事、ウィメンズカウンセリング京都スタッフ/認定フェミニストカウンセリング・アドヴォケイター。共著『笑顔を取り戻した女たち マイノリティー女性たちのDV被害――在日外国人・部落・障害』(パド・ウィメンズ・オフィス、2007年)、『フェミニストカウンセリングの実践』(世界思想社、2010年)など。趣味は、いつのまにかインドア派。自他ともに認めるテレビっ子。
石地かおる(いしじ・かおる)
自立生活センターリングリング障害者スタッフ。24時間介助で地域での自立生活を実践中(私の介助者になりませんか?)。全国自立生活センター協議会ピア・カウンセリング委員会副委員長時代に全国の障害者にエンパワメントを伝える。40代半ばで女性であること、被差別部落にルーツがあることを自覚し、さらなるエンパワメントにチャレンジしている。
【大事に思っていること】優生思想撤廃、人権、差別をなくす取り組み、人とのつながり。
【好きなこと】食べること、料理、スーパー巡り、音楽、推し活、旅、パズルゲーム。
のぴこ
1983年生まれ。会社員、非婚出産、フェミ登山部。大阪市内の部落で、同和保育、解放子ども会に通い、小学生までを過ごす。制度から周縁化されたこと(すなわち“一般並み”から外れたこと)へ関心を向けてきた最近は、ジェントリフィケーションが進む釜ヶ崎の近くで小さなコミュニティスペースを友人たちと運営している。いつも心に反戦・反天皇制・反家父長制。自律・相互扶助・フェアネスが可能なあり方を模索中。
【好きな場所】本屋、飛行機、クロスバイク、おいしいコーヒーがあるところ、日常の営みが綴られたインターネット、フェミニストと登る山、Three chords and the truthを聞くことが出来るライブ。
瀬戸徐映里奈(せと・そ・えりな)
1986年関西生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。父母の姓を並べて、名乗り始めて16年。名前は、朝鮮読みして「よんりな」と呼ばれることも。研究テーマは、いきものがたべものになり、胃袋に入るまでに生まれる様々な関係をマイノリティの食卓から考えること。特に在日ベトナム人にとっての食と農に注目し、そこから浮かぶ葛藤やつながりの創出、立場による権利の差を考察してきました。自分も耕す土を確保し、種を蒔き、食材を育てたい!と思い、近所によい耕作地を探し中(といいながら、数年経過)。移民・難民問題、在日朝鮮人運動と部落解放運動に関わりつつ、試行錯誤の毎日。
坂東希(ばんどう・のぞみ)
大阪公立大学教員。関心は、非行・犯罪臨床、トラウマからの回復、修復的司法、コミュニティづくりなど。非行や犯罪行動を有する少年・成人を対象とした教育プログラムの実践と研究に携わる。共著に『アディクションと加害者臨床』、『治療共同体実践ガイド』(いずれも金剛出版)など。和歌山市内の部落に生まれ、高校卒業までを過ごす。反差別国際運動(IMADR)で勤務した後、大阪大学大学院で非行・犯罪領域の心理臨床を学ぶ。同時期に出会った大阪府箕面市の北芝(本文参照)で胃袋をつかまれ、2011年からNPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で6年ほど働く。瓶ビール、錆びた鉄、古い木箱、破れやほつれ、穴の空いた布に引き寄せられます。
川﨑那恵(かわさき・ともえ)
1983年大阪生まれ、京都で娘と2人暮らし。大学の事務職員。シェアキッチン&スペース「スウィングキッチンYour」運営メンバー。部落出身の両親のもとに生まれ、幼い頃父の故郷の部落で暮らす。大阪市立大学入学後、部落問題を学び始める。各地の部落やその他の社会問題(新潟水俣病など)の現場を訪問し、人と出会い腹を割って語り合う飲み会を重ね、標語「寝た子を起こして、仲良くごはん」を思いつく。2024年、同標語を題名にしたエッセイの連載を雑誌『エトセトラ』で開始。これから探究したいテーマは近代日本における部落差別と優生思想、家父長制イデオロギーの形成過程と関連性。暇を見つけては映画館での映画鑑賞・好きなミュージシャンのライブ鑑賞・友人たちとごはん会。